当サイトの主たる目的の一つは MW10 HiKARI の魅力を皆さんにお伝えすることで、日頃、MW10 についてのコラムはポジティブな内容になりがちです。それだと MW10 を神格化し過度な期待を与えてしまうことになりかねないので、本稿では敢えて MW10 を酷評してみたいと思います。今どきの言い方だと敢えてディスってみるということです。
ディスる前に私のスタンスをお示します。MW10 にはお金や物には替えられないプライレスレスな価値を見出すことができるため、製品単体の良し悪しだけで MW10 に評価を下すのは間違っています。MW10 の評価というものは使う人によって変わるものであって絶対的な評価というものはおそらく有り得ません。つまり噂や世間の評判というものはあてにならないということです。それは一般人に限らず医師や専門家はおろか、MW10 を開発した HOYA の方々でさえそうだと言えます。
1. 値段が高い
MW10 の本体価格 395,000 円で、消費税を含めると 40 万円を超えてきます。高価なのは値札を見れば明らかなので、価格そのもののに文句をつけようとは思いませんが、実際にこの金額を出せるかどうかを考えた場合、出せる人はごくわずか。筆者はこの部分が問題だと見ています。
現状、MW10 の代金は全額消費者負担なので、その分を用意する必要があります。MW10 に興味を持っている眼科医さんたちは富裕層の人たちなので、多くの方は何のためらいもなく購入できると思いますが、私のような一般の庶民にとってこのお金を用意することは至難の業です。
筆者はギター等の楽器、一眼レフカメラやカメラレンズ、パソコン、乗れなくなったオートバイを売りに出して MW10 の費用を捻出しました。MW10 を購入することは出来ましたが、その代償はとても大きいと感じており、未だにそのショックを引きずっています。
どの自治体でも補装具の対象に指定されていない現時点で価格が一番のネックになっていることはメーカーの人たちも十分に把握しています。おそらく耳タコでしょう。しかし、購入の仕方はもう少し幅をとれるはずです。例えば、リースプランを提供するとか、毎月光熱費程度の負担で利用できるショッピングクレジットを提供することです。
2. 行動が自由になるわけではないので実用的ではない
MW10 を使うと周囲が明るく見えるのは紛れもない事実だと筆者は見ていますが、だからといって夜間にランニングをしたり、自動車等の乗り物を運転することはできません。それは製品の仕組み上、行動のスピードを歩くペース以上にすると周囲が認識し辛くなるからです。ただこれはユーザーの視力が悪いことも影響していると言えるので 一概に MW10 の問題にするのは間違っています。
それでも夜盲症の人の理想というのは上記のことが普通にできるようになることなので、理想と比較すれば現実はとても厳しいということです。
3. ダサいし使い勝手も悪い
MW10 を一目見て「カッコいい」や「おしゃれ」だと思う人は殆どいないはずです。ましてやコントローラーとケーブルも付いていて使用している最中は終始邪魔だと感じます。
「暗所視支援メガネ」と聞いて思い描く理想形というのは、サングラス程度のサイズやデザイン、利便性でしょうから、それと比べると MW10 は見劣りしてしまいます。
4. 容易にディスれるほどの完成度でしかない
結局いくら MW10 が凄いといっても上記のように簡単にダメ出しできる製品ですので、噂や評判を鵜呑みにして過度な期待を持つのはよろしくありません。
筆者は HOYA で MW10 を開発した方たちと実際にお会いし、上記のことも含めて意見交換を何度かしています。MW10 の商品化には少なくとも 5 年はかかっており、その間には何度も試作機を作り直していることを知っています。私達が思うよりも商品化に苦労されたので、正直、ディスるのは申し訳ないと思っていますが、そういう内情は消費者には関係ない話なので、敢えてディスってみました。