MW10 HiKARI(以後 MW10 と呼称)は、光学機器メーカー HOYA 株式会社が 2018 年 4 月に国内で販売を開始した夜盲症の人のための暗所視支援メガネ。「MW」は「メディカルウェアラブル(Medical Wearables)」の頭文字を合わせた造語になります。
ゴーグルのようなメガネユニットに備えられた超高感度カメラが捉えた明るい映像を目の前の透過型有機 EL ディスプレイに投映し、それを肉眼で見ることで普段は見えない暗いところで物や風景が普段よりもはるかに明るく見えるようになります。
MW10 を使用すると、例えば夜道が全体的に普段よりも明るく見え、道路や建物、交差点、障害物の存在を把握しやすくなります。また、照明の少ない倉庫の中、真っ暗に近い映画館、雰囲気作りのために照明を落としているレストランといった場所でも周囲の物が見やすくなります。

MW10 では自分の眼でカメラの映像を見る、という仕組みなので使用する人の視力によってその効果は変わってきます。本ページに述べている効果はあくまでも筆者の見え方に基づくもので、必ずしも他の夜盲症の方にも当てはまるわけではありません。
MW10 の効果は周囲の物が明るく見られるようになるだけではありません。
例えば、視野狭窄の方の場合、MW10 の映像を小さくすることにより肉眼よりも広い範囲を現在の視野で捉えることができます。
また、視力や視野の残り方が中心ではなくその周辺に点在しているような方でも視点を少しずらすことで MW10 の明るい映像を目で捉えることができ、結果として物が普段よりも見えやすくなる場合もあります。
このような直接的に視覚を改善することの他にも、暗い場所で物が見えるようになる効果によって肉眼では体験できないようなことを体験することができ、使う人の考え方によっては生活の質も向上すると言えます。つまり QoL の向上も期待できるわけです。